東部校第20回楽しく歴史・文化を探訪する会報告
掲載日 : 2023-12-13
第20回楽しく歴史・文化を探訪する会報告
「藤岡大拙先生の講演会・木綿街道散策・同窓会」
令和5年12月1日、平田のいずも縁結び温泉「ゆらり」において楽しく歴史・文化を探訪する会の活動20回を記念して、くにびき学園において大変お世話になりました藤岡大拙先生を講師に迎え講演会を開催しました。
御年91歳を迎えられる先生は、卒園後においても出雲風土記を教わったりしていますが、大変お元気で活躍しておられます。
演題は、「松江の魅力 ~その歴史と文化~」で、松江の魅力を取り上げた文豪の著作を紹介され、小説家の心情を推察されるコメントを述べられてのお話を拝聴しました。
内容は、明治36年益田市生まれの田畑修一郎作「出雲・石見」に「城下町のよさと、宍道湖の水と出雲の古さ、この三つのものが渾然と融合した美しさを持っている。」と記されているのをはじめ、小説「ビルマの竪琴」で知られる竹山道雄作「日本人と美」では、神魂神社を訪れて感動した場面が次のように記述されています。
「神魂神社はすぐ後ろに清浄な山を負っている。そこの平地に、明るい錆につつまれた木造建築が、一分の隙もない比例をなして組み合って、格調きわめて高く聳えている。」
この時、竹山は半日も動かず社を眺めていたと云われています。
この他、岡本太郎「日本の伝統」、徳富蘆花「死の陰に」、芥川龍之介「松江印象記」、島崎藤村「山陰土産」、松平不味「贅語(むだごと)」「茶礎」、小泉八雲「神々の国の首都」、田山花袋「山水小記」「備後の山中」、阿部知二「宍道湖のほとり」、渡辺淳一「みずうみ紀行」の中から城、町、湖、夕日などそれぞれの筆から描かれる風景は正に自分がその場にいるような興奮を覚えました。
中でも田山花袋の作品において、師弟関係にあった岡田美和子(実は田山が心密かに慕っていた)が、弟子との関係が父親の知るところとなり故郷広島県上下町に返された時、旅の途中で出会い、その恋心を宍道湖の夕日を見て捨て去っていく様を描いた場面は映画にもなりうる真に迫ったものでした。
「宍道湖の落日」前略 ~ 貧賤、ああ、これ何の悶ぞや。帝王の世は帝王の世と去り、英雄の夢は英雄の夢と滅びて、留るもの一つだになきこの人の世に、何を悶え、何を苦しみ、何を歎き、何を欲するや。天上、地上遂にこれ孤独、遂にこれ寂莫。--かかる思いを乗せて、船はただ寂しき湖水の夕べを馳せる。 以下略
このように文壇のロマンを熱っぽく語られる先生の名調子に引き込まれること90分。時間のたつのも忘れて聞き惚れました。
その後、木綿街道を散策し江戸時代後期から明治にかけての木綿産業を学び、夜は27期社文同窓会に花が咲き有意義な楽しい一日を終えました。
講演会
講演会
講演会
講演会
講演会
講演会
平田木綿街道
平田木綿街道
平田木綿街道
平田木綿街道
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